【人事が解説】持株会とNISAはどっちを優先?加入者の本音

持株会とNISAのどちらを優先するかを解説する記事のアイキャッチ

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会社に持株会があって、入るべきか迷っている。あるいは入ってはいるけれど、NISAを始めた今、このまま続けていいのか分からない。上場企業に勤める人なら、一度は考えることだと思います。

私は持株会に入っていて、毎月の給料と賞与から拠出を続けています。人事として持株会の加入手続きに携わったこともあり、加入者からの問い合わせにも答えてきました。

結論から言うと、資産形成はNISAを優先し、持株会は奨励金をもらうための補助として使うというのが私の考えです。この記事では、東京証券取引所の最新の調査と、加入者と人事の両方の立場から見た持株会の実際をまとめます。

この記事でわかること
  • 持株会の仕組みと奨励金の相場
  • 加入者として感じるメリット
  • 見落としやすいデメリット
  • 持株会とNISAの優先順位
  • 引き出しと退職時の注意点
読者

持株会って奨励金がもらえるから、入らないと損なんだよね。

サトエヴォ

奨励金は確かに大きいです。ただ一社に偏るので、私はNISAを先に使い、持株会は補助にしています。

目次

持株会の仕組みと奨励金

従業員持株会の仕組みと奨励金を解説するセクションのバナー画像

まずは持株会がどんな制度かを押さえます。仕組み自体は単純ですが、会社が奨励金を上乗せしてくれることが、ほかの投資にはない大きな特徴です。数字は東京証券取引所が2026年2月に公表した調査を使います。

給料天引きで自社株を買う制度

持株会は、社員が毎月の給料や賞与から一定額を出し合い、持株会がまとめて自社の株を買う仕組みです。一人ひとりの持ち分は、出したお金に応じて管理されます。

1株ずつ自分で買うのではなく、少額ずつ積み立てられるのが特徴です。株価が高い会社でも、少額から参加できるのが利点です。

奨励金は平均10.7%の上乗せ

多くの会社は、社員が出したお金に奨励金を上乗せしています。調査対象の会社のうち96.6%が奨励金を出していました。

項目2024年度の調査結果
奨励金を出している会社96.6%
奨励金の平均拠出1,000円につき107.24円
最も多い奨励金1,000円につき100円(42.6%の会社)
次に多い奨励金1,000円につき50円(26.7%の会社)

出典:東京証券取引所「2024年度従業員持株会状況調査結果の概要」2026年2月16日公表。2025年3月31日時点。奨励金額は手数料の補助を除いた金額。

最も多いのは10%、次が5%の上乗せです。自分の会社の率は、持株会の案内や規約で確認できます。

上場企業の社員の約4割が加入

同じ調査では、持株会の加入者は330.2万人でした。調査対象の会社の従業員数に対する割合は40.12%で、1人あたりの平均保有額は250.3万円です。

子会社の社員も加入できるため厳密な加入率ではありませんが、目安として約4割の人が使っている制度だと言えます。

加入者として感じるメリット

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ここからは、実際に加入している立場から感じていることです。持株会の良さは、利回りの数字より手間をかけずに続けられる仕組みにあると感じています。とくに投資を始めたばかりの人ほど、この点が効いてきます。

天引きなので続けやすい

拠出は給料から自動で引かれるので、毎月自分で買い付ける必要がありません。株価が上がっても下がっても、決まった金額で買い続けることになります。

相場を見て迷う時間がないので、投資に慣れていない人でも続けやすいでしょう。

賞与からも積み増せる

持株会によっては、毎月の拠出に加えて賞与のときに上乗せして拠出できます。私も毎月の拠出と合わせて、賞与のときにも拠出する使い方です。

まとまったお金が入ったときに使ってしまう前に、先に回せるのは地味に助かります。

奨励金ぶん有利に始まる

奨励金が10%なら、1万円を出すと1万1,000円分の株を買えることになります。買った時点で、すでに上乗せぶんだけ有利な位置から始まるわけです。

ほかの投資では、こうした上乗せはまず得られません。奨励金がある会社なら、少額でも入っておく価値は十分にあります。

見落としやすいデメリット

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奨励金だけを見ると、持株会は入らないと損な制度に見えます。しかしお金を一つの会社に集中させてしまうという弱点があり、ここを知らずに拠出を増やすのは危険です。奨励金の率より先に、まずこの点を確認してください。

給料と資産が同じ会社に偏る

会社の業績が悪くなると、給料や賞与が下がり、同時に持株会の株価も下がる可能性があります。収入と資産が同じ方向に傷むので、いざというときの支えになりません。

最悪の場合、リストラなどで仕事を失うタイミングと、株の価値が下がるタイミングが重なることもあり得ます。

NISAの非課税が使えない

持株会で持っている株は、NISA口座に移すことができません。NISA口座で持てるのは、NISA口座で新しく買った株や投資信託だけです。

持株会から引き出した株は課税口座に移るので、売って利益が出れば税金がかかります。

奨励金にも税金がかかる

奨励金は、給料と同じ扱いで課税されます。10%の奨励金がそのまま手取りになるわけではありません。

それでも上乗せがあることに変わりはありませんが、率を計算するときは税金ぶんを差し引いて考えましょう。

持株会とNISAの優先順位

持株会とNISAの優先順位を解説するセクションのバナー画像

では、持株会とNISAのどちらを優先すべきか。私自身はNISAを優先し、持株会は奨励金をもらうための補助にしています。比べる軸を整理すると、この順番にしている理由が分かりやすいはずです。

私はNISAを優先している

NISAは運用益に税金がかからず、世界中の株に分散した投資信託を選べます。一方で持株会は、奨励金があっても一つの会社に集中する投資です。

資産形成の土台は分散と非課税で固め、そのうえで持株会の奨励金を取りに行く。この順番にしておけば、会社に何かあっても生活の土台が崩れにくくなります。

比べる軸は奨励金と非課税

比べる点持株会NISA
上乗せ奨励金あり(平均10.7%)なし
税金奨励金は課税、売却益も課税運用益は非課税
分散自社株1社に集中投資信託で分散できる
手間給料天引きで自動積立設定をすれば自動
引き出し規約で決まった単位での出庫になるいつでも売却できる

奨励金は確実な上乗せで、NISAの非課税は長く続けるほど効いてくる利点です。どちらにも強みがあるので、片方だけを選ぶより役割を分けて使うのが現実的でしょう。

両方使うときの考え方

まずNISAで毎月の積立額を決め、生活に無理のない範囲で続けます。そのうえで、持株会は奨励金をもらえる範囲の少額にとどめるのが私のやり方です。

持株会の拠出を増やしたくなったら、資産全体の中で自社株の割合が大きくなりすぎていないかを先に確認してください。

これからNISAを始めるなら、ネット証券で口座を開くのが手軽です。楽天証券なら、楽天ポイントを貯めたり投資に使ったりもできます。

引き出しと売却の注意点

持株会の引き出しと売却の注意点を解説するセクションのバナー画像

人事として受けた問い合わせで多かったのが、加入や口数の変更と、引き出しや売却についてでした。持株会の株は、自分の証券口座の株と同じ感覚では動かせません。引き出しにも売却にも、持株会ならではの制約があるので、売ろうと思ったときに慌てないよう知っておいてください。

引き出しの単位は規約しだい

引き出しの単位は、持株会の規約で決まっています。100株単位で出庫する扱いが多く、100株に満たない分は持株会に残したままになるのが一般的です。ただし単元未満株の扱いも含めて会社ごとに違うので、自社の規約を確認してください。

私も引き出したことがあります。持株会の事務局に申し込み、自分の証券口座に株を移すという流れです。

売るときはインサイダー規制に注意

社員は、会社の決算や重要な発表を事前に知り得る立場にあります。持株会を通じた毎月決まった額の買い付けは、1回の拠出が200万円未満であればインサイダー取引規制の対象外とされています。

ただし、引き出した株を売るときは、この対象外の扱いになりません。未公表の重要な情報を知りながら、拠出を増やしたり新しく加入したりすることも問題になり得ます。会社ごとに売買を控える期間などの社内ルールがあることも多いので、売る前に必ず確認してください。

手続きには日数がかかる

引き出しを申し込んでから証券口座に株が移るまでの日程は、持株会によって異なります。思い立ってすぐ売れるわけではないので、お金が必要になる時期から逆算して動くのが安全です。

退職や退会のとき

退職や退会のときの持株会の扱いを解説するセクションのバナー画像

転職や退職をすると、多くの場合は持株会も退会することになります。私も前の会社を辞めたときに持株会を退会しました。退会の手続きを放っておくと、株の扱いが宙に浮いてしまうので、退職前に一度確認しておきましょう。

転職で退会したときの流れ

退会すると、持株会で持っていた株を自分の証券口座に移すか、現金で受け取るかの手続きになります。どちらになるかや手続きの時期は、持株会の規約と事務局の案内で確認してください。

100株未満の株の扱い

退会のときに100株に満たない株をどう扱うかは、持株会の規約によって異なります。売却して現金で精算されるケースもあるため、規約の退会に関する条項を確認しておくと安心です。

退職後に放置しない

証券口座に移した株は、退職後も自分の資産として持ち続けられます。ただ、一つの会社の株だけが残る状態になりやすいので、NISAなど分散した資産とのバランスを見直すタイミングにしてください。

退会すると再加入できない会社が多いことや、辞めてから1年は売買の規制が続くことなど、50代で判断するときの注意点は別の記事にまとめました。

よくある質問

持株会に関するよくある質問をまとめたセクションのバナー画像

人事として実際によく受けた質問を中心にまとめました。持株会ごとに規約が違う部分も多いので、一般的な考え方として読んでください。

口数はいつでも変えられるか

変更できる時期は持株会によって決まっています。年に数回の受付期間を設けている持株会もあるので、案内や規約で確認してください。

奨励金はいくらもらえるか

会社によって違います。東京証券取引所の調査では、拠出1,000円につき100円、つまり10%の会社が最も多く、平均は107.24円でした。

引き出した株はNISAで持てるか

持てません。持株会から引き出した株はNISA口座に移せず、課税口座で持つことになります。

持株会の株はいつ売ってもいいか

引き出した株を売るときは、インサイダー取引規制の対象になります。会社の重要な情報を知っていないか、社内で売買を控える期間に当たらないかを確認してから売ってください。

退職したら持株会はどうなるか

多くの場合は退会となり、株を証券口座に移すか現金で受け取ります。100株未満の扱いは規約で決まっています。

持株会だけで資産形成してもいいか

おすすめしません。給料と資産が同じ会社に偏るため、NISAなどで分散した資産を土台にし、持株会は補助として使うのが安全です。

会社の制度で受け取るお金という点では、退職金やiDeCoの受け取り方も同じです。順番で手取りが変わる話は、こちらにまとめました。

まとめ

持株会とNISAの優先順位を振り返るまとめセクションのバナー画像

持株会は、平均10.7%の奨励金がもらえる、会社員ならではの有利な制度だと言えます。ただし一つの会社に集中する投資なので、資産形成の土台はNISA、持株会は奨励金を取りに行く補助というのが加入者で人事の私の結論です。

この記事の振り返り
  • 奨励金は平均10.7%の上乗せ
  • 天引きで続けやすい
  • 給料と資産が同じ会社に偏る
  • 持株会の株はNISAに移せない
  • 引き出しの単位や単元未満株の扱いは持株会の規約で決まる
  • 売るときはインサイダー規制に注意

持株会に入っているのにNISAをまだ始めていないなら、まずNISAの積立を先に整えてください。土台ができていれば、持株会の奨励金を安心して受け取れます。

資産形成をどこから始めるか迷っている方は、最初に整えておきたいことをこちらにまとめています。

持株会と同じく、会社を通じて使うお金の制度が社内預金と財形貯蓄です。どちらも利息の決まり方と、やめるときの扱いに独特のルールがあるので別の記事にまとめました。

NISAの口座をまだ持っていない方は、まず口座開設から始めてみてください。キャンペーンの条件はリンク先で確認できます。

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