【2026年版】社内預金とはどんな制度か 年0.5%は今も得か

休憩スペースで給与明細の封筒を開ける手元。社内預金の利率を確かめる様子

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給与明細に「社内預金」という欄がある会社があります。会社にお金を預けると、銀行よりも高い利息がつくという話を聞いたことがあるかもしれません。

読者

会社に預けると得なの。銀行より利息がいいって聞いたけど。

サトエヴォ

利息の下限は法律で年0.5%と決まっています。ただ2026年は銀行の金利も上がったので、差はほとんどなくなりました。

社内預金の利息は、労働基準法が年0.5%を下限として定めています。これは会社が勝手に下げられません。一方で2026年9月の銀行の1年定期は平均0.472%まで上がり、かつて100倍以上あった差は0.03ポイントほどに縮みました。

人事の仕事をしている立場から、制度の仕組みと、会社が倒産したときにどうなるのかを、法令と日本銀行の統計で確認しながら整理します。

私は社会保険労務士ではなく、人事の仕事をしている会社員です。社内預金の有無や条件は会社ごとに異なるため、個別のご相談には応じられません。実際の取扱いは勤務先の規程でご確認ください。

この記事で分かること
  • 社内預金がどういう仕組みなのか
  • 利息の下限が年0.5%と決まっている根拠
  • 2026年の銀行金利と比べてどうなのか
  • 会社が倒産したときに戻るのかどうか
  • 財形貯蓄や持株会とどう使い分けるのか
  • 預けるとしたらいくらまでにするか
目次

社内預金制度の仕組み

社内預金制度の仕組みを労働基準法から解説するセクションのバナー画像

社内預金は「会社が社員のお金を預かる制度」です。ただし会社が自由にできる制度ではなく、労働基準法がかなり細かく縛っています。まずそこから整理していきましょう。

賃金の強制貯蓄は法律で禁止

労働基準法第18条第1項は、使用者が労働契約に附随して貯蓄の契約をさせたり、貯蓄金を管理する契約をしたりすることを禁じています。給料の一部を強制的に会社に積み立てさせる、という仕組みは認められていません。

ではなぜ社内預金があるのか。同じ第18条の第2項以降が、条件を満たした場合に限って例外を認めているからです。社内預金は「禁止の原則に対する例外」として置かれた制度だと理解すると分かりやすくなります。

労使協定と届け出という条件

例外が認められる条件は3つです。

  1. 過半数労働組合、または労働者の過半数を代表する者との書面による協定を結ぶこと(第18条第2項)
  2. その協定を行政官庁に届け出ること(同項)
  3. 貯蓄金の管理に関する規程を定め、作業場に備え付けるなどして労働者に周知させること(第18条第3項)

協定に何を書くかも、労働基準法施行規則第5条の2で決められています。預金者の範囲、一人当たりの預金額の限度、預金の利率と利子の計算方法、受入れと払いもどしの手続などです。つまり社内預金がある会社では、これらが必ず文書になっています。

給与から天引きで積み立てる流れ

実際の流れはシンプルです。申し込むと毎月の給与から決めた額が天引きされ、会社の貯蓄金管理勘定に積み上がっていく仕組みです。ボーナスからの積立を選べる会社もあります。

引き出しについてはっきり書いているのが、第18条第5項です。「労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない」とあります。会社が返還を渋った場合はさらに第6項があり、管理の継続が労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁が管理の中止を命じられます。

会社が運転資金に使える理由

会社側から見ると、社内預金は低いコストで集められる資金です。社員から預かったお金を運転資金にまわせるため、銀行から借りるよりも調達コストを抑えられる場合があります。

ただし会社の負担も小さくありません。労使協定と届け出、規程の整備と周知、毎年の預金管理状況報告、そして次に説明する保全措置まで必要になります。手間とコストを考えると、新しく始める制度としては選びにくいのが実情です。

法律で決まった利息の下限

社内預金の利息の下限が年0.5%と決まっている根拠を解説するセクションのバナー画像

社内預金でいちばん知られているのが、利息の下限です。ここは会社の裁量ではなく、法令が数字を決めています。

労働基準法第18条第4項の中身

第18条第4項は、預金を受け入れるときは利子をつけなければならないと定めたうえで、こう続けています。

「その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす」

読みにくい条文ですが、意味は明確です。下限より低い利率を労使協定で決めても無効になり、下限の利息がついたものとして扱われます。厚生労働省も同じ説明をしています。

五厘を下回れないと定めた省令

その「厚生労働省令で定める利率」を決めているのが、昭和27年労働省令第24号です。名前が長いので通称はありませんが、中身は5つの条文しかありません。

肝心なのは第4条です。計算した下限利率が五厘未満になるときは、下限利率は五厘とする、と書かれています。五厘は年0.5%のことです。つまり市中の金利がどれだけ下がっても、社内預金の利息は年0.5%より下がらない仕組みになっています。

厚生労働省のよくある質問でも、下限利率は年0.5%(5厘)と明記されています。この0.5%という床が、社内預金がずっと「お得な制度」と言われてきた理由でした。

毎年見直される下限利率の決め方

下限利率は固定ではありません。省令の第2条と第3条が見直しのルールを決めています。

タイミング見直しの条件変更後の利率
毎年度の初め前年度10月の定期預金平均利率と、同月の下限利率の差が五厘(0.5ポイント)以上平均利率に端数処理をした利率
年度の途中(10月から)4月の定期預金平均利率と下限利率の差が一分(1.0ポイント)以上平均利率に端数処理をした利率
どちらの場合も計算結果が五厘未満になるとき五厘(年0.5%)

ここでいう定期預金平均利率は、全国の銀行が新規に受け入れる300万円未満の定期預金について、日本銀行が公表する平均年利率をもとにした数字です。変更するときは厚生労働大臣が告示すると決められています。

注目したいのは条件の厳しさです。下限が0.5%を上回るには、前年度10月の平均利率が1.0%以上になる必要があります。この条件を満たすまで、下限は0.5%のまま据え置かれます。

銀行の金利と並びはじめた2026年

2026年の銀行金利と社内預金の下限利率を比べるセクションのバナー画像

元の記事を書いた2018年当時、大手銀行の定期預金は年0.01%でした。0.5%はその50倍です。ところが2024年からの金利上昇で、この前提が崩れました。

1年定期の平均は年0.472%

日本銀行が公表している「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」で確認しました。2026年9月の数字はこうです。

  • 定期預金(預入金額1千万円以上・1年)の平均年利率 0.472%
  • 普通預金の平均年利率 0.322%

社内預金の下限は0.5%なので、差はわずか0.028ポイントです。50倍だった差が、ほぼ横並びになりました。100万円を1年預けたときの利息の違いは、280円ほどにすぎません。

2022年からの金利の動き

同じ統計で、ここ数年の動きを並べてみます。

時点1年定期の平均普通預金の平均社内預金の下限との差
2022年4月0.004%0.002%約125倍
2024年4月0.026%0.019%約19倍
2025年4月0.253%0.182%約2.0倍
2026年4月0.378%0.254%約1.3倍
2026年9月0.472%0.322%約1.1倍

4年半で定期預金の平均は100倍以上になりました。社内預金の下限は一度も動いていないので、差だけが一方的に縮んだことになります。

読者

じゃあ、もう社内預金の意味はないの。

サトエヴォ

金利だけで選ぶ理由は薄くなりました。でも下限が効く場面はまだあります。

差が縮んでも下限が効く場面

意味がなくなったわけではありません。理由は2つあります。

  • 金利が下がっても年0.5%を割らないという下限の保証
  • 申し込めば給与から自動で積み立てられるという手軽さ

1つめは下がらない保証です。銀行の金利は景気と政策で動きます。2022年のように0.004%まで落ちる局面でも、社内預金は0.5%を割りません。金利が下がるときにこそ効いてくる仕組みだといえます。

2つめは手間のなさです。毎年の満期の乗り換えを自分で管理する必要がなく、放っておいても積み上がっていきます。積立を続ける仕掛けとしては優秀です。

逆に言えば、金利の高さを理由に選ぶ段階は終わりました。預ける前に、いま使っている銀行の定期預金の金利と見比べてください。銀行の金利は毎月動いています。

倒産したときの保全措置

会社が倒産したときの社内預金の保全措置を解説するセクションのバナー画像

社内預金でいちばん気になるのが、会社が倒産したときです。ここは元の記事で「保全されない」と書いていましたが、正確ではありませんでした。法律には保全の義務があります。

保全措置は法律上の義務

根拠は賃金の支払の確保等に関する法律です。その第3条が、社内預金を預かる会社に保全措置を義務づけています。

内容は、毎年3月31日時点の受入預金額について、その日から1年間を通じて払いもどしを確保する措置を講じること。講じていない場合は、第4条により労働基準監督署長が期限を指定して是正を命ずることができます。

つまり社内預金には、法律上の受け皿が用意されています。会社が何の備えもせずに社員のお金を預かることは認められていません。

預金保全委員会という抜け道

ただし安心しきれない部分があります。保全措置として認められている方法が4つあり、実質の強さがまったく違うのです。

保全措置の方法お金の置き場所倒産時の実質
金融機関などによる保証契約社外(保証人が払う)強い
労働者を受益者とする信託契約社外(信託財産)強い
質権または抵当権の設定社内の資産に担保中くらい
預金保全委員会の設置と貯蓄金管理勘定の経理社内弱い

4番目の預金保全委員会は、社内に監視する場をつくる方法です。構成員の半数は労働者側の推薦で選ばれ、3か月以内ごとに1回、会社から預金の管理状況について書面で報告を受けます。議事の概要は開催のたびに作業場に掲示または備え付けられ、重要な議事の記録は3年間保存されます。

仕組みとしては真っ当ですが、倒産したときに社外からお金が入ってくる仕組みではありません。自分の会社がどの方法をとっているのかは、貯蓄金管理規程か労使協定に書かれています。預ける前に確認したいのは、利率よりむしろここです。

預金保険の対象にはならない

もう1つ、預金保険との関係もはっきりさせておきましょう。預金保険は金融機関が破綻したときに預金者を保護する制度で、対象になるのは金融機関に預けたお金です。

社内預金は会社に預けたお金なので、この制度の対象外です。1金融機関あたり1,000万円までの保護、という話は当てはまりません。守ってくれるのは、先に見た保全措置だけということになります。

財形貯蓄と持株会との使い分け

社内預金と財形貯蓄と持株会の使い分けを解説するセクションのバナー画像

会社を通じてお金を貯める制度は、社内預金だけではありません。性格が違うので、役割を分けて考えると整理しやすくなります。

財形貯蓄は金融機関が預かる

財形貯蓄は、会社が給与から天引きして金融機関に預ける制度です。一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があります。

社内預金との決定的な違いは預け先です。お金が置かれるのは会社ではなく金融機関なので、会社の倒産と直接つながりません。さらに財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、あわせて元利合計550万円までの利子等が非課税になります。

財形年金貯蓄のうち、郵便貯金や生命保険の保険料などに係るものは、払込ベースで385万円が限度です。

持株会は元本が動く仕組み

従業員持株会は自社株を買う仕組みです。奨励金が出る会社もあり、条件だけ見ると魅力的に見えます。

ただし株なので元本は保証されていません。そして給料と資産の両方が同じ会社に乗ることになります。会社の業績が悪くなったときに、収入と資産が同時に痛むのが持株会の怖さです。

人事から見た3つの優先順位

制度を説明する立場から見て、順番はこう考えています。

  1. 生活費の半年分は、すぐ下ろせる銀行口座に置く
  2. 非課税の枠(新NISAとiDeCo)を先に使う
  3. 社内預金と持株会は、あわせて金融資産の1割までにとどめる

3番目の理由は分散です。社内預金も持株会も、勤め先という1つの箱にお金を集める行為になります。給料も退職金もその会社から出ているのですから、貯蓄まで同じ箱に入れると、集中しすぎです。

社内預金のよくある質問

社内預金のよくある質問をまとめたセクションのバナー画像

人事の窓口で聞かれることの多い順に、5つ挙げておきます。

自分の会社にあるか調べる方法

まず給与明細の控除欄を見てください。社内預金や貯蓄金といった名前の項目があれば、制度があります。

明細に見当たらない場合は、就業規則や貯蓄金管理規程を探してください。労働基準法第18条第3項で作業場への備え付けと周知が義務づけられているので、社内のイントラネットや総務の棚に必ずあります。見つからないときは「貯蓄金管理規程はありますか」と人事や総務に聞くのが早いです。

利息に税金はかかるのか

かかります。所得税法施行令第2条第1号で、労働基準法第18条により管理される貯蓄金は「預貯金」に含まれると決められています。つまり銀行預金の利息と同じ扱いです。

税率は20.315%の源泉分離課税です。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%。会社が源泉徴収するので、確定申告は要りません。

年0.5%で100万円を1年預けた場合、利息は5,000円、税引き後の手取りは約3,984円という計算になります。

退職したときの扱いはどうなるか

返還請求をすれば、第18条第5項により遅滞なく返還されます。実務上は退職手続きのなかで精算されるのが一般的です。

返還の手続と時期は、労使協定で定めた「預金の受入れ及び払いもどしの手続」に従います。退職金と同じ日に振り込まれるのか、別になるのかは会社ごとに違うので、退職を決めたら早めに確認してください。

途中で引き出せるのか

引き出せます。返還を請求すれば遅滞なく返還しなければならないと法律に書かれているので、会社が拒むことはできません。

ただし銀行のATMのようにその場で下ろせる仕組みではありません。申請の締切や振込日が規程で決まっているのが普通です。だからこそ、急な出費に備える生活防衛資金の置き場には向きません。そちらは銀行に置いてください。

いくらまで預けてよいのか

制度上の上限は会社ごとに違います。労働基準法施行規則第5条の2第2号で、労使協定に「預金者一人当たりの預金額の限度」を定めることになっているからです。規程を見れば数字が書かれています。

制度の上限とは別に、自分で決める上限も必要です。私は持株会と合わせて金融資産の1割までという線を引いています。会社が傾いたときに、生活が立ち行かなくなる額を預けないことが大事です。

まとめ

社内預金についての結論を振り返るまとめセクションのバナー画像

社内預金について、この記事で確認したことを整理します。

  • 賃金の強制貯蓄は禁止で、社内預金は労使協定と届け出を条件にした例外の制度
  • 利息の下限は年0.5%(五厘)。下回る協定は無効になり、下限がついたものとみなされる
  • 2026年9月の1年定期の平均は0.472%。50倍だった差は約1.1倍まで縮んだ
  • 下限が0.5%を超えるには、前年度10月の平均利率が1.0%以上になる必要がある
  • 倒産に備えた保全措置は法律上の義務だが、4つの方法で強さが違う
  • 預金保険の対象外なので、守るのは保全措置だけ
  • 財形貯蓄は預け先が金融機関。持株会は元本が動く

結論はシンプルです。金利の高さで選ぶ制度ではなくなりました。それでも、下がらない下限と自動で積み立つ仕組みには価値があります。使うなら、自分の会社がどの保全措置をとっているかを規程で確認してから、金融資産の1割までにしてください。

読者

まず規程を読むところからだね。

サトエヴォ

そうです。制度の名前より、そこに何が書いてあるかが大事ですから。

会社の制度をどう使うかは、50代のお金の組み立て方そのものです。こちらもあわせて読んでください。

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