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「副業をやってみたいが、会社の就業規則で禁止されている。」そう思って踏み出せない方は多いはずです。一方で、副業が会社に分かる仕組みを正しく知っている人は、あまり多くありません。
私は人事の仕事に20年以上携わり、副業の届出を受け付けたり、就業規則を見直したり、社員から相談を受けたりしてきました。自分自身も、不動産投資とブログという給料以外の収入源を持っています。
結論から言うと、副業が会社に伝わる主な経路は住民税と人づてです。ただ、隠す方法を考えるより、自分の会社の就業規則を確認するほうが先です。この記事では、会社が副業を制限できる場合、住民税で分かる仕組み、確定申告の考え方、無断で副業をした場合の扱いを、人事の立場からまとめます。
- 国の方針と会社が制限できる場合
- 住民税で副業が分かる仕組み
- 就業規則のどこを見ればよいか
- 確定申告と年20万円の誤解
- 無断で副業をしたときの扱い
副業禁止の会社だけど、こっそりやってもバレないのかな。



分かる経路はだいたい決まっています。ただ、先にやるべきなのは就業規則の確認です。
副業を禁止する会社が多い理由


国は副業を後押ししていますが、会社の規則が追いついていない例は少なくありません。実際に自分に適用されるのは、国の方針ではなく自社の就業規則です。まずは前提を整理します。
国は原則認める方向
厚生労働省は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作り、2020年9月と2022年7月に改定しました。ガイドラインでは、裁判例を踏まえると、労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に働く人の自由だとしています。
そのうえで、原則として副業や兼業を認める方向で検討するのが適当だと書かれています。モデル就業規則も、副業を許可制とする規定を削除し、届出制に改められました。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
会社が制限できる4つの場合
とはいえ、どんな副業でも自由というわけではありません。ガイドラインでは、会社が副業を制限できる場合として、次の4つが挙げられています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合
長時間の副業で本業に支障が出る場合や、同じ業界で競合する仕事をする場合が、これに当たるでしょう。
公務員は法律で制限されている
公務員は会社員とは事情が違います。国家公務員法や地方公務員法で、営利企業への従事などが制限されており、許可が必要です。会社員向けの話をそのまま当てはめないでください。
副業が会社に分かる仕組み


人事の実務から見ると、会社が副業に気づく経路は限られています。多いのは住民税と、本人が話してしまうことの2つです。
住民税の特別徴収で分かる
会社員の住民税は、多くの場合、給料から天引きされる仕組みです。これを特別徴収と呼び、会社には毎年、市区町村から社員ごとの住民税額の通知が届きます。
副業で所得が増えれば、住民税も増えるのです。給料の額に対して住民税が不自然に多ければ、人事や経理が気づくきっかけになるでしょう。
給与以外の所得は納め方を選べる
確定申告では、給与や公的年金以外の所得にかかる住民税について、「特別徴収」か「自分で納付」かを選べます。自分で納付を選べば、その分の納付書は自宅に届く形になります。
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー」住民税の徴収方法の選択
ただし、アルバイトのように給与としてもらう副業は、この選択ができません。給与の分はまとめて本業の会社に通知されます。
本人が話して広まる
もう1つは、本人が同僚に話すことです。うまくいき始めると人に話したくなりますが、そこから社内に広まる例は実際にあります。
隠すこと自体を目的にするより、堂々とやれる状態にするほうが、気持ちの面でも楽でしょう。
就業規則の見方


副業を始める前に必ず確認したいのが、自分の会社の就業規則です。「副業禁止」と思い込んでいるだけで、実際は届出制というケースもあります。
どこを見ればよいか
見るべき場所は、服務規律の章と、副業・兼業に関する条文です。多くの会社では「会社の許可なく他の会社の業務に従事しない」といった形で書かれています。
就業規則は、社員がいつでも見られる状態にしておく義務が会社にあります。社内サイトや総務部で確認してください。
許可制か届出制か
条文の書き方で、意味は大きく変わります。許可制なら申請して認められる必要があり、届出制なら届け出れば足ります。
| 規定の形 | 必要なこと |
|---|---|
| 許可制 | 事前に申請し、会社の許可を得る |
| 届出制 | 事前または事後に会社へ届け出る |
| 規定なし | 禁止とは言い切れないが、上司や人事に相談しておくと安全 |
私が人事として届出を受け付けてきた中でも、内容を確認したうえで認められる例は珍しくありませんでした。
資産運用の扱いを確かめる
株式投資や不動産の賃貸を副業に含めるかどうかは、会社によって違います。資産運用として副業と分けている会社もあれば、規模によっては届出を求める会社もあります。
自分のやろうとしていることが、どちらに当たるのかを確かめておくと安心です。
不動産の賃貸が副業に当たるかは、こちらの記事で詳しく書きました。


確定申告と年20万円の誤解


「年20万円までは申告しなくてよい」という話はよく聞きます。ただ、これは所得税の話で、住民税は別です。
所得税は20万円を超えたら申告
1か所から給与を受けていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人は、確定申告が必要です。
出典:国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
ここでいう20万円は、売上ではなく所得です。売上から必要経費を引いた残りで判断します。
住民税は20万円以下でも申告が必要
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は必要になることがあります。申告の要否や手続きは自治体によって違うため、お住まいの市区町村で確認してください。
経費と帳簿を残しておく
副業を続けるなら、収入と経費を記録しておきましょう。申告が必要になったときに慌てずに済みます。
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無断で副業をしたときの扱い


副業そのものは法律違反ではありません。ただし、就業規則に違反すれば社内の処分の対象になり得ます。処分ができるのは、就業規則に定めがある場合です。
懲戒には就業規則の定めが必要
会社が社員を処分するには、就業規則に懲戒の種類と理由を定めておく必要があります。定めがなければ、届出をしなかったことだけを理由に重い処分をするのは難しいでしょう。
制限が認められるかは中身しだい
裁判例を踏まえたガイドラインの考え方では、制限が許されるのは、本業に支障が出る場合や、秘密が漏れる場合、競合する場合、会社の信用を傷つける場合などです。
逆に言えば、本業に影響のない範囲の副業まで、一律に厳しく扱われるとは限りません。
人事から見た現実的な話
人事として相談を受けてきた立場で言うと、問題になりやすいのは、副業そのものより働き方です。深夜まで副業をして本業で居眠りをする、会社の備品や情報を使う、といった形です。
隠れて続けるより、先に届け出るほうが結果的に長く続けられます。
副業と就業規則のよくある質問


最後に、よく出る疑問をまとめます。制度も会社の規則も変わるため、最後は自分の会社と自治体で確認してください。
副業禁止の会社で副業したら違法か
法律に違反するわけではありません。ただし、就業規則に違反すれば社内の処分の対象になり得ます。
不動産投資や株式投資も副業に当たるか
会社によって扱いが違います。資産運用として副業と分けている会社もあるため、就業規則で確認してください。
実際に賃貸物件を持ったあとは、管理をどこに任せるかという話になります。管理会社を変えたときの記録はこちらです。


副業が会社に分かったらすぐ解雇されるか
届出をしなかったことだけで、すぐに解雇されるとは限りません。実際に問題になるのは、本業に支障が出た場合や、競合する仕事をした場合です。
確定申告をしないとどうなるか
申告が必要なのにしなければ、加算税や延滞税がかかることがあります。副業の所得が増えてきたら、早めに準備しておきましょう。
ブログやアフィリエイトも副業か
収入を得ている以上、副業として扱われるのが一般的です。会社の規定でどう扱われるかを確認してください。
まず何から始めればいいか
就業規則を確認し、必要なら届出をすることからです。そのうえで、本業に支障が出ない範囲で小さく始めてみてください。
まとめ


副業が会社に分かる経路は限られていますが、隠し方を考えるより、規則を確かめて堂々と始めるほうが長続きします。
- 国は原則認める方向で、モデル就業規則は届出制
- 制限できるのは本業への支障や競業など4つの場合
- 住民税と人づてが主な経路
- 給与以外の所得は納め方を選べる
- 20万円は所得税の話で住民税は別
- まずは自社の就業規則を確認する
大切なのは、会社の外で稼ぐ力を少しずつ育てることです。私自身、給料以外の収入をつくったことで、働き方の選択肢が広がりました。


副業から一歩進んで考えたい方には、こちらの記事もおすすめです。



