NASを買ったら、外出先からも中のデータを見たくなります。ところが調べ始めると、ルーターの設定やポート開放といった話が出てきて、そこで止まってしまう人が多いはずです。
先に結論を書きます。SynologyのNASなら、QuickConnectという仕組みを使えばルーターは触らなくて済みます。設定にかかるのは5分ほどでしょう。
ネットワークの知識がないと無理な話じゃないの。



そこはSynologyがうまく作ってあります。ただし、外から入れるようにする以上、守りは固めてからにしてください。
この記事では、DS720+での設定手順と、つなぐ前にやっておくべき安全対策をまとめました。画面はDSM 7のものです。
- QuickConnectの設定手順
- ポート開放を勧めない理由
- つなぐ前にやる安全対策4つ
- スマホから使うときのアプリ
- クラウドサービスとどちらを選ぶか
外から使う前に知っておくこと


手順に入る前に、これから何をするのかを押さえておきましょう。ここを分からないまま設定すると、危ない状態に気づけません。
外に開けるとはどういうことか
自宅のNASに外から入れるようにするということは、世界中のどこからでも入口が見える状態にするということです。便利さと引き換えに、狙われる可能性も生まれます。
悲観する必要はありません。押さえるところを押さえれば、必要以上に怖がることはないのです。
ポート開放は勧めない
ネットで検索すると、ルーターのポートを開けて直接つなぐ方法が出てきます。ただ、この方法は設定を間違えたときの影響が大きくなります。
- 開けたポートは誰からでも見える状態になる
- 設定を間違えても、自分では気づきにくい
- ルーターの機種ごとに手順が違い、調べ直しになる
私のように専門知識がない者が手を出す場所ではない、というのが正直な感想です。
QuickConnectなら穴を開けずに済む
SynologyのNASには、QuickConnectという仕組みが用意されています。Synologyのサーバーを中継して、自宅のNASと外の端末をつないでくれるものです。
ルーターの設定は要りません。NAS側でIDを決めるだけで、`QuickConnect.to` というアドレスから入れるようになります。
QuickConnectの設定手順


ここからが実際の作業です。DS720+の画面で説明しますが、SynologyのNASならどの機種でも同じ流れになります。
コントロールパネルを開く
DSMにログインして、コントロールパネルを開きます。


「接続性」という区分の中に「外部アクセス」という項目があるので、ここを押してください。
QuickConnectを有効にする
外部アクセスの画面には、4つのタブが並んでいます。一番左の「QuickConnect」を選びます。


- 「QuickConnect を有効にする」にチェックを入れる
- Synologyアカウントでログインする
- QuickConnect ID を決めて入力する
- 右下の「適用」を押す
これだけです。画面に出てくる QuickConnect.to のアドレスが、外からの入口になります。
IDの決め方と注意点
IDはアドレスの一部になるため、他の人と重複しないものを選ぶことになります。
気をつけたいのは、このIDが人に見える文字列だという点です。名前や住所を推測されるものは避けてください。意味のない文字の組み合わせが無難でしょう。
設定画面の下にある「詳細設定」では、どのサービスを外に出すかを選べます。使わないものは出さないほうが安全です。
つなぐ前にやる安全対策4つ


ここが元の記事で書けていなかった部分です。QuickConnectは入口を作る仕組みであって、鍵を強くしてくれるわけではありません。
admin以外の管理者を使う
NASの初期設定で作られる管理者の名前は、外から見て予想がつきます。自分の名前で別の管理者を作り、もとの管理者は使わない状態にしておきましょう。
コントロールパネルの「ユーザーとグループ」から作れます。パスワードも、他のサービスと使い回さないものにしてください。
2段階認証をかける
これが一番効きます。パスワードが漏れても、スマホの確認がなければ入れない状態になるからです。
同じく「ユーザーとグループ」から設定できます。スマホの認証アプリを使う形になるので、手元に用意してから始めてください。
自動ブロックを有効にする
パスワードを何度も間違えた相手を、自動で締め出す機能です。コントロールパネルの「セキュリティ」の中にあります。
総当たりで入ろうとする相手に対して、これが壁になります。回数と時間は初期設定のままで構いません。
DSMを最新に保つ
弱点が見つかれば、Synologyが修正版を出します。外につなぐなら、更新を後回しにしないでください。
コントロールパネルの「更新と復元」から確認できます。手順は別の記事にまとめました。


外からアクセスしてみる


設定が終わったら、実際に外から入れるか試します。自宅のWi-Fiを切った状態で確認するのが確実です。
パソコンはブラウザから
ブラウザのアドレス欄に `QuickConnect.to/自分のID` と入力します。DSMのログイン画面が出れば成功です。
自宅で使っているときと同じ画面が開きます。ファイルの出し入れも、そのままできる形になります。
スマホは専用アプリから
スマホやタブレットは、ブラウザより専用アプリのほうが快適です。用途に応じて使い分けます。
| やりたいこと | 使うアプリ |
|---|---|
| ファイルの出し入れ | Synology Drive |
| 写真を見る・預ける | Synology Photos |
| NASの設定を触る | DS finder |
どのアプリでも、ログイン画面でQuickConnect IDを入れればつながります。アドレスを覚える必要はありません。
つながらないときに見るところ
うまくいかないときは、次の順番で確かめてください。
- NASの電源が入っているか
- QuickConnectが有効のままか
- IDを打ち間違えていないか
- 「詳細設定」で、使いたいサービスが許可されているか
私の場合は、スマホの回線に切り替えずに試していたのが原因でした。自宅のWi-Fiにつながったままだと、外からの確認にならないのです。
使って分かった限界


便利な仕組みですが、万能ではありません。使ってみて感じた制約を正直に書きます。
速度は自宅の回線しだい
外から見るデータは、自宅のNASから送り出されます。効いてくるのは自宅回線の上り速度です。
下りの数字ばかり見がちですが、外部アクセスで大事なのは反対側になります。回線を選ぶときの判断材料にもなるところでしょう。


大きなファイルは待たされる
書類や写真を1枚見るぶんには、待ち時間をほとんど感じません。一方で、動画のような大きなファイルは素直に時間がかかります。
外出先で編集するような使い方には向きません。必要なものは持ち出す前に手元へ移しておくほうが現実的です。
QuickConnectとVPNの違い
もっと本格的に使いたいなら、VPNという方法もあります。自宅のネットワークそのものに参加する形です。
| QuickConnect | VPN | |
|---|---|---|
| 設定の手間 | 5分ほど | ルーターやNASの設定が必要 |
| ルーターの設定 | 不要 | 必要な場合が多い |
| 使える範囲 | NASのサービス | 自宅のネットワーク全体 |
| 向いている人 | まず使い始めたい人 | 仕組みを理解している人 |
私はQuickConnectで十分でした。手間と効果を比べて、無理のないほうを選べばよいはずです。
クラウドサービスとの比べ方


DropboxやiCloudと迷う人も多いところです。どちらが良いかは、使い方で変わります。
費用のかかり方が逆になる
クラウドは毎月払い続ける形です。NASは最初にまとまった額がかかり、そのあとは電気代だけになります。
| NAS | クラウドサービス | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 本体とHDDで数万円 | ほぼなし |
| 月々の費用 | 電気代のみ | 容量に応じた月額 |
| 容量の増やし方 | HDDを入れ替える | 上位プランに変更 |
| 止まったとき | 自分で直す | 復旧を待つ |
何年使うかで、有利なほうが入れ替わります。短期ならクラウド、長く使うならNASという見方ができるでしょう。
容量の自由度
NASの利点は、容量を自分で決められることです。写真や動画が増えても、月額が上がっていきません。
私が選んだのもここが理由でした。カメラのデータは年々増えていく一方だからです。
どちらを選ぶか
- 容量が数十GBで足りる|クラウドで十分
- 写真や動画が数百GB以上ある|NASが向く
- 家族で共有したい|NASのほうが扱いやすい
- 機械の世話をしたくない|クラウドを選ぶ
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よくある質問


外部アクセスの設定でよく出る疑問をまとめました。私自身が調べた内容が中心になります。
QuickConnectに料金はかかりますか
かかりません。Synologyのアカウントを作れば使えます。NASを買ったあとに追加で払うものはないと考えてよいでしょう。
ルーターの設定は本当に不要ですか
QuickConnectを使う限り不要です。Synologyのサーバーが中継してくれるからです。ポートを開ける方法とは別物だと考えてください。
IDは後から変えられますか
変えられます。ただしアクセス先のアドレスも変わるため、スマホのアプリを設定し直すことになります。最初に決めるときに考えておくほうが楽でしょう。
使わないときは切っておくべきですか
外から使う予定がない期間は、切っておくほうが安全です。チェックを外して適用するだけなので、必要になったら戻せます。
家族にも使わせられますか
できます。家族それぞれにユーザーを作り、見せたい共有フォルダだけ権限を与えてください。ひとつのアカウントを全員で使い回すのは避けたほうが安全です。
NASが壊れたらデータはどうなりますか
外部アクセスとは別の話として、備えが要ります。HDDを2台にして片方が壊れても残る構成にするか、別の場所へ控えを取っておくかのどちらかでしょう。


まとめ


外部アクセスの設定そのものは5分で終わります。時間をかけるべきなのは、つなぐ前の安全対策のほうです。
- QuickConnectを使えばルーターの設定は不要
- コントロールパネル → 外部アクセス → QuickConnect で有効にする
- IDは人に見える文字列。名前や住所が分かるものは避ける
- つなぐ前に、管理者の見直し・2段階認証・自動ブロック・DSMの更新
- 速度は自宅回線の上り次第。大きなファイルは待たされる
- 容量が増え続けるならNAS、数十GBで足りるならクラウド
私は専門知識がないまま設定しましたが、ここまでの手順で困ることはありませんでした。同じように迷っている人の役に立てばと思います。
思ったより難しくなさそうだね。



設定は簡単です。ただ、2段階認証だけは必ずかけてください。そこだけは省かないでほしいところですね。
NASまわりの記事は他にもまとめてあります。あわせて読んでみてください。





