【人事が解説】会社員の不動産投資は副業?就業規則の確認点

会社員の不動産投資と就業規則の関係を人事20年の筆者が解説する記事のアイキャッチ画像

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「不動産投資を始めたいけれど、会社の副業禁止に引っかからないか。」会社員が不動産投資を考えるとき、最初に気になるのがここではないでしょうか。

私は人事の仕事に20年以上携わり、副業の届出を受け付けたり、ローン審査用の在職証明書を発行したりしてきました。自分自身も、2016〜2020年ごろに一棟物件と戸建ての賃貸を始め、確定申告は自分で行っています。

結論から言うと、会社員の不動産投資が副業に当たるかは、会社の就業規則しだいです。株式投資と同じ「資産運用」として扱う会社もあれば、規模によって届出を求める会社もあります。この記事では、確認するべき条文と、規模による扱いの違い、会社に知られるきっかけを人事の立場から整理します。

この記事でわかること
  • 不動産投資が副業に当たるかの考え方
  • 就業規則で確認するところ
  • 規模が大きくなったときの扱い
  • 会社に知られるきっかけ
  • 人事から見た注意点
読者

不動産投資って、副業禁止の会社でもやっていいのかな。

サトエヴォ

会社によって違います。まずは就業規則で、資産運用がどう扱われているかを確認しましょう。

目次

不動産投資は副業に当たるか

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最初に押さえたいのは、不動産投資が副業かどうかを決めるのは、国ではなく会社だということです。同じ家賃収入でも、会社によって扱いが違います。

会社によって扱いが違う

多くの就業規則では、他の会社で働くことや、自分で事業を営むことが副業の対象です。一方で、株式や不動産の運用は「資産運用」として副業から外している会社もあります。

相続した実家を貸している人まで副業と扱うのは現実的ではないため、規模で線を引く会社も少なくありません。

国は副業を原則認める方向

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、労働時間以外の時間をどう使うかは基本的に働く人の自由だとしています。そのうえで、原則として副業・兼業を認める方向で検討するのが適当だとしています。

出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

ただし、実際に適用されるのは自分の会社の就業規則です。国の方針だけを理由に、確認を省くのは避けましょう。

公務員は規模で承認が必要

国家公務員の場合は、人事院の規則の運用で基準が示されています。独立家屋が5棟以上、アパートなどが10室以上、または賃料収入が年500万円以上になると、自営として承認が必要とされています。

出典:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

会社員に直接当てはまる基準ではありませんが、規模で線を引く考え方は、民間の就業規則でも参考にされることがあります。

就業規則で確認するところ

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就業規則は、社員がいつでも見られる状態にしておくことが会社に求められています。見るべき場所は3つです。

副業・兼業の条文

まず、服務規律の章や、副業・兼業の条文を探します。「会社の許可なく他の業務に従事しない」といった書き方が一般的です。

資産運用の扱い

次に、資産運用についての記載があるかを確認します。「株式や不動産の運用は除く」と書かれていれば、一定の範囲までは届出が不要な場合があります。

書かれていない場合は、どこまでが資産運用なのかを人事に確認するのが確実です。

許可制か届出制か

規定の形必要なこと
許可制事前に申請し、会社の許可を得る
届出制事前または事後に会社へ届け出る
資産運用を除外規模によっては手続きが不要なこともある

厚生労働省のモデル就業規則は、許可制の規定を削除し、届出制に改められています。

規模が大きくなると扱いが変わる

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物件が増えると、税金の扱いも会社の見方も変わってきます。税金の「事業的規模」と、会社の副業の判断は別のものとして考えてください。

税金の事業的規模は5棟10室

国税庁は、建物の貸付けが事業として行われているかを実質で判断するとしています。そのうえで、アパートなどが10室以上、または独立家屋が5棟以上あれば、原則として事業として扱うとしています。

出典:国税庁「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」

事業的規模で変わること

事業的規模かどうかで、青色申告特別控除の上限などが変わります。事業的規模なら要件を満たすと最高55万円(電子申告などでは65万円)、それ以外は最高10万円です。

出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在)

  • 事業的規模:要件を満たすと最高55万円(電子申告などでは65万円)
  • それ以外:最高10万円

控除の要件は見直されることがあるため、申告の前に最新の内容を確認しましょう。私は、マネーフォワード クラウド確定申告を使って自分で申告しています。帳簿づけから申告書の作成、電子申告までを1つで進められるソフトです。

会社から見た規模の感覚

人事の立場で見ると、会社が気にするのは税金の区分より、本業に影響が出るかどうかです。物件が増えて対応に追われるようになると、届出や相談を求められる可能性は高くなります。

会社に知られるきっかけ

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隠すための話ではなく、どこで会社の目に触れるのかを知っておくための整理です。

住民税の通知

会社員の住民税は、多くの場合、給料から天引きされる仕組みです。不動産所得が増えると住民税も増え、その額が会社に届く通知に表れます。

確定申告で、給与以外の所得にかかる住民税を「自分で納付」にする選択もあります。ただし、規則を確認せずに済ませる方法ではありません。

ローン審査の書類

不動産を買うときのローン審査では、在職証明書など、勤め先が発行する書類を求められることがあります。人事として発行を担当してきましたが、申請のときに用途を書いてもらう会社もあるでしょう。

赤字の年も注意

不動産所得の赤字は、条件を満たせば給与所得と損益通算できます。ただし、土地を買うための借入金の利子にあたる部分など、通算できない損失もあるので注意が必要です。

出典:国税庁「No.2250 損益通算」

赤字で住民税が大きく下がった場合も、会社の通知で変化が見えることがあります。

人事から見た注意点

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不動産投資そのものより、本業との線引きがあいまいになったときに問題になりやすいというのが実感です。

管理は任せて本業に支障を出さない

入居者の募集や家賃の集金、修繕の手配は、管理会社に任せることもできます。勤務時間中に電話対応に追われるようでは、本業に支障が出ていると見られかねません。

勤務時間や会社の設備を使わない

物件の資料づくりや連絡に、会社のパソコンやメールを使うのは避けましょう。小さなことでも、規則違反として扱われる可能性があります。

迷ったら先に人事に相談する

扱いが分からないときは、始める前に人事に相談するのが確実です。後から分かるより、先に伝えておくほうが話はずっとスムーズになります。

会社員の不動産投資のよくある質問

会社員の不動産投資に関するよくある質問をまとめたセクションのバナー画像

最後に、よく出る疑問をまとめます。私は社労士でも税理士でもないため、個別の判断は勤め先や専門家に確認してください。

副業禁止の会社で不動産投資をしてもいいか

就業規則で資産運用が除かれていれば、問題にならないこともあります。規則に書かれていなければ、人事に確認してください。

相続した家を貸すのも副業か

相続した家を小さく貸す程度なら、問題にしない会社もあるでしょう。ただし、規模や手間が大きくなる場合は確認が必要です。

確定申告は自分でできるか

できます。私も毎年、マネーフォワード クラウド確定申告を使って自分で申告しています。物件が増えて帳簿が複雑になったら、税理士に相談するのも1つの方法です。

5棟10室を超えたら会社に届け出るべきか

税金の基準と会社の基準は別です。会社の規則で求められているかどうかを確認してください。

住民税を自分で納付すれば会社に知られないか

知られにくくはなりますが、規則を守ったことにはなりません。まずは規則を確認するのが先です。

まとめ

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会社員の不動産投資が副業に当たるかは、会社の就業規則で決まります。資産運用として扱う会社もあれば、規模で線を引く会社もあります。

この記事のまとめ
  • 副業かどうかは会社の就業規則しだい
  • 資産運用の扱いと許可制か届出制かを確認
  • 国家公務員は5棟・10室・年500万円が目安
  • 税金の事業的規模は5棟10室
  • 住民税やローンの書類で会社の目に触れる
  • 迷ったら始める前に人事に相談

大切なのは、本業と両立できる形で、規則を確認してから始めることです。家賃収入は、会社に依存しない生き方を支える柱の1つになります。

確定申告の準備をこれから始める方は、まず使い勝手を見てみてください。

会社員のまま不動産投資を続けた人たちの話は、こちらの本も参考になります。

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