【人事20年で読み直した】転職の思考法は50代に効くか

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「このまま今の会社にいていいのか」と思ったことはありませんか。そのものずばりの題名がついた本を、私は2018年に読んでいます。当時はアラフォーでした。

あれから8年が経ちました。いまは50代で、人事の仕事を20年やっています。自分が転職する側だけでなく、採用する側も長く見てきました。

その目で読み直すと、当たっていたところと、50代には足りないところがはっきり分かれます。この記事では、人事の現場から見てこの本がどう映るかを書きます。

この記事で分かること
  • 本が言うマーケットバリューの中身
  • 20代・30代・40代で変わる武器
  • 避けたほうがいい会社の見分け方
  • 人事の現場から見て合っているか
  • 50代が読むとどこが足りないか
2018年の本でしょう。いま読んでも古くないですか。
前提はむしろ強まりました。ただ50代向けには書かれていません。
目次

8年前に読んだ本

2018年と2026年で転職の思考法の読み方がどう変わったかを書くセクションのバナー画像

2018年に読んだときのこと

最初に読んだのは2018年です。題名に引かれて手に取りました。読み終えて、もやもやしていたものが晴れた感覚があったのを覚えています。

当時すでに何度か転職を経験しています。知らないうちに本に書かれていることを実践していたのだと感じました。

いま数えると6社目です。狙って動いたというより、そのときどきで選んだ結果でした。

いまの自分との違い

当時はアラフォーで、転職する側の目線しかありませんでした。いまは50代で、人事として採用する側を20年見ています。

同じ本でも、立つ位置が変わると見え方が変わります。書かれていることが当たっていたかどうかを、答え合わせできる年齢になりました。

8年という時間は、本の主張を試すには十分でしょう。

読み直した理由

50代の働き方を考える記事を書くうちに、この本をもう一度開くことになりました。転職するかどうかで迷っている方に、何を渡せるかを考えたためです。

終身雇用が崩れた前提

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2人に1人が転職する

本が立っている前提は単純です。終身雇用はすでに崩れている、というところから始まります。

2018年の時点で、2人に1人が転職する時代に入っていると書かれていました。新卒の学生でも、6割近くがその先のキャリアを意識して就職活動をしているとされています。

上司ではなく市場を見る

この前提に立つと、働き方の軸が変わります。上司を見て働くのではなく、マーケットを見て働くべきだ、というのが本の主張です。

上司の評価は社内でしか通じません。社外で通じる力を持っているかが問われます。

8年経って加速した

8年経って、この前提は弱まるどころか強まりました。定年の延長や再雇用の広がりで、ひとつの会社にいる年数そのものは伸びています。

ただし、伸びた先で何をするかは別の話です。会社にいられる年数と、働き続けられる力があるかどうかは、同じではありません。

マーケットバリューの中身

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3つで決まる

本の中心にあるのがマーケットバリューという言葉です。日本語にすると市場価値になります。

決まる要素は3つです。

  • 技術資産(専門性と経験)
  • 人的資産(人脈)
  • 業界の生産性

自分を商品として見る

考え方としては、自分を商品として見ることになります。自分のスキルを他社に売れるかどうか、という見方です。

居心地や人間関係は、ここには入りません。会社の外に出したときに値段がつくかだけを見る考え方です。

首になっても雇われるか

分かりやすい確かめ方として、いま会社を離れたら他社に雇ってもらえるかを考える方法があります。

雇ってもらえないと感じるなら、足りないものを身につける必要がある。そういう筋道です。

年代で変わる武器

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20代は専門性

年代によって効く武器が変わる、というのがこの本の見立てです。20代は専門性だとされています。

ただし知識だけでは差がつきません。同じ資格を持つ人は大勢いるので、そこから先が必要になります。

人事として書類を見ていても、資格の欄だけで判断することはありません。その資格を使って何をしたかが書かれているかどうかを見ます。

30代は経験

30代で効くのは経験です。知識を使って何をしたかが問われます。

だから若いうちに知識をつけておく必要がある、という順番です。

逆に言えば、知識を入れずに年数だけ重ねると、30代で手札が無くなります。ここは順番が大事なところでしょう。

40代は人脈

40代以降で効くのが人脈です。読んだ当時は、これがいちばん実感の薄い部分でした。

50代になったいま振り返ると、人脈は確かに効きました。本が言っていたとおりだったと感じています。

技術や経験は似た人がたくさんいます。最後に差がつくのは、誰が自分を思い出してくれるかでした。

避けたほうがいい会社

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10年前と同じものを売っている

転職先の選び方について、本は避けるべき会社の形を挙げています。ひとつが、10年前とまったく同じサービスを同じ顧客に売っている会社です。

変化の激しい時代に商品が変わっていないということは、市場が成熟しきっている可能性が高いと見ます。

その業界に入ると、自分の力とは関係なく伸びにくくなるでしょう。本はここを個人の努力ではどうにもならない部分として扱っています。

生え抜きばかりが役員

もうひとつが、生え抜きの人ばかりが役員になっている会社です。外から来た人が上に行けない構造になっていないかを見ます。

中途で入る側から見ると、天井がどこにあるかの手がかりになります。

上を向いている産業を選ぶ

では何を選ぶのか。技術資産も人脈もまだ無いなら、生産性の高い産業か、伸びている産業を選べというのが本の答えです。

個人の力より、乗っている業界のほうが効く場面があるという見方です。身も蓋もありませんが、人事として見ていても、ここは否定しにくいところがあります。

大半はなりたい姿で動く

99%がbeing型という話について書くセクションのバナー画像

doing型とbeing型

本は人を2つに分けています。何をするかという目標がはっきりしているdoing型と、どうありたいかを重く見るbeing型です。

そして99%はbeing型だとしています。

私もbeing型だった

自分はどちらかと考えると、私はbeing型です。明確な夢があって動いてきたというより、こうありたいという状態を選んできました。

好きなことの見つけ方

being型が向いていることを探す方法として、本は2つ挙げています。

  • 他人から上手だと言われるが、自分ではピンとこないもの
  • 普段の仕事でまったくストレスを感じないこと

どちらも、自分の内側を掘るのではなく、すでに起きていることから拾うやり方です。夢が無いことを責めなくていい、という点でも救いがあります。

50代になると、やりたいことを聞かれて困る場面が増えます。そのときに、この2つの探し方は使えると思いました。

人事の目で見てどうか

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採用の現場と合っている

人事を20年やってきた目で見て、この本の市場価値という考え方は現場と合っています。採用する側が見ているものと、大きくずれていません。

社内でどう評価されていたかは、外から来た人については分かりません。見えるのは、何ができて、何をしてきたかだけです。

長く勤めたこと自体は、外から見ると情報になりません。その年数で何を身につけたかが伝わって、はじめて意味を持ちます。

本に書かれていないこと

一方で、この本は50代に向けて書かれたものではありません。出てくるのは20代から40代の話で、その先には踏み込んでいません。

50代には、本が想定していない事情があります。再雇用、役職定年、家族の状況、体調。どれも市場価値だけでは決まりません。

市場で値段がついても、動けるとは限らないのが50代です。動かないという判断にも理由があります。

数字で確かめる

働き方を考えるときは、気持ちだけでなく数字も要ります。生活費が何か月分あるか、住宅ローンと教育費がどうなっているか。

私は転職の判断基準を別の記事にまとめました。この本の考え方と並べて読むと、足りない部分が埋まります。

50代が読むとどうか

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薦められる人

50代の方にも薦めます。ただし読み方には少し注意が必要でしょう。

いますぐ転職するために読むのではなく、転職できる状態かどうかを確かめるために読むほうが向いています。

補い合う考え方

この本と、私が書いた判断基準は、どちらかが正しいという関係ではありません。補い合う関係です。

本は市場での値段を教えてくれます。判断基準のほうは、自分の生活から見て動くべきかを教えてくれます。両方ないと決められません。

物語として読める

この本は物語の形で書かれています。登場人物が相談しながら進むので、ビジネス書が苦手な方でも読み進めやすい作りです。

内容を頭に入れるというより、考え方の筋道をたどる本だと思って読むとよいでしょう。

転職の思考法のよくある質問

転職の思考法のよくある質問をまとめたセクションのバナー画像

2018年の本ですが古くないですか

前提は古くなっていません。終身雇用が崩れたという話は、8年経ってむしろ進みました。具体的な数字は当時のものなので、そこだけは今の数字で確かめてください。

転職するつもりがなくても読む意味はありますか

あります。この本は転職をすすめる本ではありません。転職できる状態をつくる本なので、残ると決めるためにも使えます。

50代でも転職できますか

できるかどうかは人によるでしょう。ただ、本が言う3つのうち、40代以降で効くのは人脈だとされています。私の実感としても、ここは当たっていました。

人脈はどうやってつくればいいですか

意図してつくるというより、仕事の結果として残るものだと考えています。一緒に働いた人が自分を思い出してくれるかどうかが、そのまま人脈になります。

資格を取れば市場価値は上がりますか

資格は技術資産の一部ですが、それだけでは差がつきません。本も、知識だけでは他の人と同じになると書いています。経験と組み合わせて初めて効きます。

どんな人に向かない本ですか

具体的な転職の手順を知りたい方には向きません。求人の探し方や面接の受け答えは書かれていないためです。考え方の軸を得る本です。

どこで読めますか

紙と電子書籍の両方が出ています。物語形式なので、通勤時間のような細切れの時間でも読み進められます。

転職の思考法のまとめ

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8年ぶりに読み直して、当たっていた部分がはっきりしました。

この記事の要点
  • マーケットバリューは技術資産・人的資産・業界の生産性で決まる
  • 20代は専門性、30代は経験、40代以降は人脈
  • 人脈が効くという話は、50代になって実感した
  • 10年前と同じものを売る会社、生え抜きばかりの会社は避ける
  • 99%はbeing型。夢が無いことを責めなくていい
  • 人事の現場から見て、市場価値の考え方は合っている
  • ただし50代の事情までは書かれていない

この本は転職をすすめません。いつでも動ける状態をつくる本です。そのうえで残ると決めるなら、それも立派な選択でしょう。

50代の働き方とお金については、ほかにも読んだ本をまとめています。

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