モニターアームの耐荷重は、数字だけ見ても足りているかどうか分かりません。私はそれで一度失敗しました。
耐荷重の範囲に入ってたのに足りなかったの?



そうなんです。範囲には入っていました。ただ、その下にある注記を読んでいませんでした。
39.7インチのウルトラワイドモニターに替えたとき、それまで使っていたエルゴトロンLXでは耐荷重が足りず、HXに買い替えることになりました。モニターの重さはスタンドを外した状態で9.2kgです。
LXの荷重範囲は3.2〜11.3kgなので、9.2kgは数字上は収まっています。それでも足りませんでした。なぜそうなるのかを、公式の表記をたどりながら書いていきます。
- エルゴトロンLXからHXに替えることになった理由
- 耐荷重の数字だけでは判断できない理由
- HXの対応サイズ・荷重範囲・可動域
- 取り付け前に確認しておく4点
- 湾曲モニターに別売ピボットが必要かどうか
- 実際に使って感じた不満と、向かない人
LXからHXに替えた理由


まず、買い替えに至った流れを整理しておきます。ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
前に使っていたのはエルゴトロンLX
以前は4Kモニターをエルゴトロンの定番であるLXで支えていました。ガススプリング式で高さが変えられて、10年保証も付いています。不満はありませんでした。
モニターを39.7インチのウルトラワイドに替えるときも、アームはそのまま使えると思っていたのです。


39.7インチで耐荷重が足りない
結果としては、LXでは支えきれませんでした。アームだけは新しくする必要がありました。
モニターの重さは、スタンドを付けた状態で14.1kgあります。アームに載せるときはスタンドを外すので、スタンドなしの9.2kgが基準になります。ここを見て「LXの範囲内だ」と考えたのが間違いでした。
9.2kgなら3.2〜11.3kgの真ん中くらいだよね。



重さだけを見ればそうです。でもアームの対応サイズは最大34インチでした。
数字は範囲内でも注記に当たる
エルゴトロン公式のLXのページには、荷重範囲のあとに小さく注記が付いています。原文はこうです。
9.1kg以上のモニターでは最大11cmの昇降範囲の減少が起こる可能性があります。モニターの深さが8.9cm以上ある場合は、荷重範囲が減少する可能性があります
このモニターはスタンドなしで9.2kg、奥行は106mmです。つまり9.1kgも8.9cmも、どちらも超えています。
| 項目 | LG 40U990A-W | LXの条件 |
|---|---|---|
| 画面サイズ | 39.7インチ | 最大34インチ |
| スタンドなし重量 | 9.2kg | 3.2〜11.3kg(9.1kg以上は注記あり) |
| スタンドなし奥行 | 106mm | 8.9cm以上は注記あり |
| マウント規格 | 100×100mm | MIS-D 100/75 |
重さは範囲に入っていても、サイズは公式の想定を超えていて、注記にも2つ当たる。これが「数字だけでは判断できない」という意味です。
HXの仕様で押さえる点


では買い替えたHXはどうなっているのか。公式の数値を先に並べておきます。
対応サイズと荷重範囲
私が買ったのは、HX デスクモニターアームのホワイト(45-475-216)です。
| 項目 | HX | LX |
|---|---|---|
| 対応モニターサイズ | 最大49インチ | 最大34インチ |
| 荷重範囲 | 9.1〜19.1kg | 3.2〜11.3kg |
| チルト範囲 | 後方70°/前方5° | 後方70°/前方5° |
| デスククランプの天板厚 | 16〜66mm | 10〜60mm |
| 製品重量 | 7.0kg | 3.5kg |
| 製品保証期間 | 10年間 | 10年間 |
39.7インチで9.2kgなら、HXの対応範囲にきちんと収まります。ただし気をつけたいのは、9.2kgが下限9.1kgのすぐ上だということです。HXは重いモニターを支えるためのアームなので、軽い側のぎりぎりに乗っている状態になります。
可動域と回転
チルトが動く範囲は後方70°から前方5°です。回転については、公式が2か所に分けて書いています。
- アームとエクステンションの接続点で360°
- エクステンションとベースの接続点で180°
- ベースの回転ストップで角度の範囲を180°に制限できる(モニターが壁に当たるのを防ぐ)
- 縦と横の回転は、回転ストッパーのネジでロックできる
純正スタンド側の可動域と比べると差がはっきりします。LGの純正スタンドは高さ調整130mm、チルトが前-5°から後20°、スイベルが左右20°まで。画面を縦にするピボットはありません。
同梱品と保証
箱に入っているのは、アーム、エクステンション、モニターピボット、デスククランプ、グロメットマウント、取り付け金具です。クランプとグロメットの両方が入っているので、机に合わせて選べます。
保証は10年間。アームは一度付けたら長く使うものなので、ここは安心できる部分だと思います。
取り付け前に確認する4点


私の失敗をふまえて、買う前に見るべき箇所を4つに整理しました。すべてモニターとアームの仕様表に載っています。
VESA規格と天板の厚み
まずはモニター側のマウント規格です。LG 40U990A-Wは100×100mmで、HXのMIS-D 75/100に合います。
見落としやすいのは机のほうです。HXのデスククランプが対応する天板の厚みは16〜66mm。LXは10〜60mmなので、薄い天板の机だとHXは付きません。
400×200mmなど大きなホールパターンのモニターは、別売のVESAブラケットアダプターキット(97-759)が必要です。
モニターの重さは必ずスタンドなしで見る
アームに載せるときはスタンドを外します。ですから見る数字はスタンドなしの重量です。
このモニターはスタンド付きで14.1kg、スタンドなしで9.2kg。差は4.9kgあります。カタログの目立つところに出ているのはスタンド付きの数字なので、仕様表の奥まで見る必要があります。
4.9kgも違うんだ。机の上はその分軽くなるんだね。



モニター側はそうです。ただアーム本体が7.0kgあるので、机にかかる重さは増えます。
奥行と湾曲も条件に入る
もう一つ、HXの荷重範囲にも注記が付いている点を押さえておきましょう。奥行が15cmを超えるモニターはアームの荷重範囲に影響することがあり、湾曲モニターの場合は弧の深さを考えて判断するように書かれています。
このモニターのスタンドなし奥行は106mmで、曲率は2500Rです。15cmには届いていません。
取り付けと実際の使い方


ここからは使ってみた話です。良かったところと、手間だったところを順に書きます。
取り付けには時間がかかる
正直に言うと、取り付けはそれなりの作業でした。時間がかかります。アーム本体が7.0kgあるので、持ちながらの位置合わせが楽ではありません。
私はクランプで固定しました。グロメットも同梱されているので、机に穴があるならそちらも選べます。クランプなら天板を傷めずに済みますし、あとで外すこともできます。
9.2kgでも位置は普通に止まる
下限の9.1kgすぐ上という重さなので、動かしたあとに戻ってしまわないか気にしていました。実際は普通に止まります。手を離した位置でそのまま保たれています。
HXはメカニカルスプリング式で、モニターの重さに合わせて強さを調整する仕組みです。ここが合っていれば、重さが下限寄りでも問題なく使えました。
高さと前後と角度を動かす
日常的に動かしているのは3つです。
- 高さ:座り方や疲れ具合に合わせて上下させる
- 前後:作業内容によって近づけたり遠ざけたりする
- 角度:反射が気になるときにチルトで逃がす
39.7インチは横幅が948mmあります。この大きさを手で押すだけで動かせるのは、純正スタンドには戻れない部分でした。


不満と向かない人


良い点だけ書くと参考にならないので、気になったところもそのまま残します。買う前に知っておいたほうがよいことです。
机の面と同じ高さまで下げられない
いちばんの不満はここです。机の面と同じところまでモニターを下げられません。一番下まで下げても、天板との間に隙間が残ります。
画面の下端を机にぴったり付けたい人には合いません。ウルトラワイドは縦の情報量が少ないので、できるだけ低い位置に置きたいという需要はあると思います。
LXで足りるならLXでよい
HXはLXより重く、価格も上です。取り付けの手間も増えます。
モニターが34インチ以下で、スタンドなしの重さが11.3kgに収まっていて、注記の条件にも当たらないなら、LXで十分でしょう。私のように対応サイズを超えてしまう場合だけ、HXを検討すればよいと思います。
じゃあ最初からモニターを決めてからアームを選ぶべきだね。



その順番が正しいです。私は逆をやって買い直しました。
モニターを持ち運ぶ予定がある人
モニターを外して持ち運ぶ機会がある人にも向きません。アームに固定してしまうと、取り外しがひと手間になります。
据え置きで動かさない使い方が前提です。部屋の中で場所を変える可能性があるなら、純正スタンドのままにしておくほうが気楽かもしれません。
エルゴトロンHXのよくある質問


買う前に私が調べたことと、公式の表記で迷いやすいところをまとめました。
LXとHXはどちらを選べばよいか
モニターの対応サイズとスタンドなしの重さで決まります。LXは最大34インチで3.2〜11.3kg、HXは最大49インチで9.1〜19.1kgです。どちらにも入る重さなら、画面サイズのほうを基準にするのが安全だと考えています。
9.2kgはHXの下限ぎりぎりだが大丈夫か
私の環境では問題なく使えています。手を離した位置で止まりますし、上に戻ってしまうこともありません。ただし将来もっと軽いモニターに替えると、下限の9.1kgを割る点は覚えておきたいところです。
湾曲モニターに別売のピボットは必要か
製品ページには「超ワイドな湾曲したスクリーンで使用するにはHXヘビーデューティーチルトピボットが必要」と書かれていて、不安になる箇所です。
ただし技術仕様のほうを読むと、別売ピボット(98-540-216)が必要になる条件は「重量12.7〜19.1kg、奥行15〜30cmのモニターを設置する場合」となっています。このモニターは9.2kg・奥行106mmなので、この条件には当たりません。私は買っていませんが、支障は出ていません。
条件の境目にいる場合は、購入前にエルゴトロンへ問い合わせて確認するのが確実です。
薄い天板の机でも取り付けられるか
HXのデスククランプは天板厚16〜66mmです。16mmより薄い天板には付きません。グロメットマウントも同梱されているので、机に穴があるならそちらを使う手もあります。
純正スタンドより机が重くなるのか
机全体で見ると重くなります。モニター側はスタンドを外して4.9kg軽くなりますが、アーム本体が7.0kgあるためです。軽くするための買い物ではなく、画面を自由に動かすための買い物だと考えたほうがよいでしょう。
まとめ


モニターアームの選び方を、失敗をふまえて整理します。
- 前はLXを使っていたが、39.7インチでは耐荷重が足りずHXに買い替えた
- 9.2kgはLXの荷重範囲3.2〜11.3kgに入るが、対応サイズは最大34インチで範囲外
- LXには「9.1kg以上」「奥行8.9cm以上」という注記があり、両方に当たっていた
- HXは最大49インチ・9.1〜19.1kg。9.2kgは下限のすぐ上だが普通に止まる
- クランプの天板厚はHX 16〜66mm、LX 10〜60mm。薄い天板ではHXが付かない
- 不満は取り付けに時間がかかることと、机の面まで下げられないこと
- LXで足りる人と、モニターを持ち運ぶ人には向かない
アームを選ぶときは耐荷重の数字を見て終わりにしがちです。ただ実際に効いたのは対応モニターサイズと注記でした。モニターを決めてからアームを選ぶ。この順番を守れば、私のような買い直しは避けられます。
モニター本体とドックについては別の記事に書いています。あわせてご覧ください。







