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50代の応募書類は、年齢で落とされていると思われがちです。実際に見ている側の感覚は少し違います。
やっぱり年齢で切られてるんじゃないの?



そう思いますよね。ただ、私が最初に見ているのは年齢ではありません。直近の勤務内容です。
人事の仕事を20年してきて、応募書類を読む側にずっといました。最初の判断にかけている時間は30秒から1分です。その短い時間で見ているものは、ほぼ1つに絞られます。
募集している仕事と、書かれている職務経歴が合っているかどうか。ここが外れていると、経歴が立派でも先に進みません。この記事では、通す側が何を見て、どう書けば伝わるのかを順に書いていきます。
- 書類を開いたとき、人事が最初に見る場所
- 30秒から1分で何が判断されているのか
- 年齢で落とすことが原則できない法律上の理由
- 落ちる書類と通る書類の分かれ目
- 職務経歴書の分量と見せ方
- 退職理由・資格・希望年収の書き方
人事が書類を見る順番


まず、書類が開かれてから何が起きているかを書きます。ここを知ると、どこに力を入れるべきかが見えてくるでしょう。
最初に見るのは直近の勤務内容
私が最初に目を落とすのは、直近の勤務内容です。学歴でも、資格でも、志望動機でもありません。
理由は単純で、募集している仕事ができる人かどうかを知りたいからです。直近に何をしていたかは、それがいちばん早く分かる場所です。
一番上に書いてあるところを見るってことだね。



はい。だから職務経歴書は古い順ではなく、直近から書いたほうが伝わります。
判断にかける時間は30秒から1分
1通あたり、最初の判断にかけている時間は30秒から1分しかありません。短いと感じるかもしれません。
ただ、応募が集まる求人ではこれが現実です。その時間で「会う」「会わない」を仕分けていきます。だから冒頭で結論が分かる書類が強くなります。
逆に言えば、最後まで読まないと何ができる人か分からない書類は不利です。3枚目にいいことが書いてあっても、そこまで届かないことがあります。
年齢で落とすことは原則できない
意外に思われるかもしれませんが、募集と採用で年齢を理由にすることは法律で制限されています。根拠は労働施策総合推進法の第9条です。
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
条文の見出しは「募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保」です。例外は施行規則の第1条の3で3つに限られています。
- 定年の定めがある会社が、定年の年齢を下回ることを条件に募集するとき(期間の定めのない契約に限る)
- 法令で特定の年齢の就業が禁止・制限されている業務について募集するとき
- 合理的な制限にあたるとき(新卒など長期間の継続勤務による能力開発を目的とする場合、技能の継承、芸術・芸能、60歳以上の高年齢者の雇用促進など)
つまり「50代だから見ない」という運用はできません。それでも通らないのであれば、理由は年齢ではなく中身にあります。
出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第9条、同法施行規則 第1条の3(e-Gov法令検索)
落ちる書類の共通点


では、何が理由で先に進まないのか。私の場合、いちばん多いのは1つのことです。
職務経歴が募集内容と合っていない
面接に呼べないと判断する典型は、職務経歴が募集内容と合っていないことです。これがほとんどを占めます。
経歴そのものが弱いという話ではありません。立派な経歴でも、募集している仕事と重なっていなければ判断できないのです。
じゃあ応募する前に見極められるってこと?



かなりの部分はそうです。求人票と自分の経歴を並べてみれば分かります。
できることが具体的に書かれていない
経歴が合っているのに落ちる場合、原因はもう1つあります。50代の書類でよく見るのは、何が具体的にできるかが書かれていないというものです。
役職や部署名、担当した制度の名前は並んでいる。けれども、その人が手を動かして何をできるのかが読み取れません。肩書きは、できることの説明にはならないのです。
どう貢献できるかが見えない
もう一歩進んで、応募先で何に貢献できるのかまで書かれている書類は少ないと感じます。ここが書けていると印象が変わります。
経験の長さを示すだけでは足りません。長く勤めた人ほど「これだけやってきた」という書き方になりがちです。読む側が知りたいのは、過去の量ではなく入ったあとに何が起きるかです。


通る書類の書き方


落ちる理由をそのまま裏返せば、通る書き方になります。順番に整理します。
求人票を先に読み込む
最初にやるのは求人票を読むことです。職務経歴書を書き始める前に、です。
実は求人票には、必要な経験や技能が書かれている前提が法律で作られています。先ほどの施行規則の第1条の3には、第2項としてこう書かれています。
当該募集及び採用に係る職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示するものとする。
つまり会社側には、職務の内容と必要な経験を示す義務があるのです。だから求人票は書類に何を書くべきかの答えが置かれている場所になります。ここを読まずに書き始めるのは、問題を見ずに解答を書くのと同じことです。
できることを具体で書く
求人票の要件を読んだら、それに対応する経験を具体的に書いていきます。書き方を比べると違いがはっきりします。
| 伝わりにくい書き方 | 伝わる書き方 |
|---|---|
| 人事部で採用を担当 | 中途採用の書類選考と面接を担当。年間の応募対応と面接日程の調整まで一人で回した |
| 給与計算業務に従事 | 月次の給与計算を担当。社会保険の手続きと年末調整まで一貫して対応できる |
| 管理職として部門を運営 | 課の目標設定と評価面談を担当。人員計画の作成と上位への説明まで行った |
右側は特別なことを書いていません。自分が手を動かした範囲を書いているだけです。それでも読む側の判断材料はまるで違います。
貢献の形まで書く
最後に、応募先で何ができるかを一行でも添えます。長い作文はいりません。
募集の背景を想像して、自分の経験がどこにはまるかを書く。それだけで「会って聞いてみよう」という判断に傾きます。30秒から1分しかないのですから、読み手に想像させないことが効きます。
職務経歴書の分量と見せ方


よく聞かれるのが分量です。50代は経歴が長いので、どうしても厚くなります。
A4で3枚前後が目安
私の感覚では、A4で3枚前後が読みやすい分量です。1枚では経歴の長い人だと足りず、5枚を超えると最後まで読まれにくくなります。
ただし枚数を合わせることが目的ではありません。募集内容に関係する経験に厚みを持たせ、関係の薄い経歴は短くする。結果として3枚前後に収まる、という順番です。
直近から書く
並べる順番は直近からです。最初に見られる場所に、いちばん見てほしい経歴を置きます。
古い順に書くと、20年以上前の話が1枚目に来ます。30秒で仕分けられる場面で、これは不利になるでしょう。
読み手の時間を想像する
書く側は何時間もかけます。読む側は1分です。この差を忘れないでおきたいところです。
文字を詰めるより、見出しを立てて余白をつくる。同じ内容でも、目で追える形になっているかどうかで伝わり方が変わります。
読みやすさって、そんなに効くのかな。



効きます。読みにくい書類は、内容ではなく読まれなかったことで落ちていきます。
書き方に迷う3つの欄


ここからは個別の欄についてです。相談されることが多い3つと、書かなくていいことをまとめます。
退職理由は納得できるかどうか
退職理由は、面接官が納得できるものであれば問題ありません。前向きに言い換えなければいけない、というものではないのです。
取り繕った理由は、面接で必ず掘られます。そこで説明が続かなくなるほうが痛い。事実を、相手が理解できる形で書くのがいちばん強いと考えています。
資格より実務経験
50代で資格を書く意味はあるか、という質問もよく受けます。正直に言えば、資格よりも実務経験が大切です。
資格は、その仕事ができることの証明にはなりません。募集の要件に資格が挙がっているなら当然書くべきですが、資格の数で経験の不足を埋めることはできないのです。


希望年収は書いたほうがいい
希望年収の欄は空けたくなるところでしょう。ただ、納得のいく転職をしたいなら記載したほうがよいと思っています。
書かないと、会社側の想定で話が進みます。条件が折り合わないと分かるのが最後になれば、お互いにかけた時間が無駄です。早い段階で条件を出しておくほうが、結果として納得につながります。
書かなくていいこと
逆に、応募書類で書く必要がないことも決まっているのです。厚生労働省は「就職差別につながるおそれがある14事項」として、会社が応募書類で求めたり面接で尋ねたりしてはならない事項を示しています。
- 本人に責任のない事項:本籍・出生地/住宅状況/家族(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)/生活環境・家庭環境
- 本来自由であるべき事項:宗教/人生観・生活信条/思想/購読新聞・雑誌・愛読書/支持政党/尊敬する人物/労働組合や社会運動
- 採用選考の方法:身元調査/必要性が認められない健康診断/適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
求められていないのに家族構成や住宅の状況を書き添える必要はありません。もし選考でこうしたことを尋ねられたなら、それは会社側の問題です。
出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」就職差別につながるおそれがある14事項
50代の転職書類のよくある質問


人事の仕事のなかで実際に聞かれることを並べます。
職務経歴書は手書きのほうがいいか
その必要はありません。パソコンで作ったもので問題ありません。見やすさのほうがずっと大事です。
転職回数が多いと不利になるか
回数そのものより、募集内容に合う経験があるかを見ています。ただ、それぞれの在籍が短い場合は理由を聞きたくなります。書類の段階で一言添えておけば、余計な推測をされずに済むでしょう。


空白期間があるとどうなるか
空白そのものが不利になるわけではありません。何をしていたかが分からない状態が判断を止めます。介護や治療、学び直しなど、事実を短く書いておけば足ります。
管理職経験はどう書けばいいか
役職名だけでは伝わりません。何人を見ていたか、どんな判断をしていたかを添えます。応募先が実務担当を求めている場合は、自分で手を動かせることも書いておいたほうがよいでしょう。
応募先ごとに書き分けるべきか
書き分けたほうが通ります。同じ書類を使い回すと、募集内容との重なりを読む側が探す形になります。全部を作り直す必要はありません。冒頭の要約と、強調する経験の順番を入れ替えるだけでも変わります。
まとめ


書類で見られていることを整理します。
- 最初に見るのは直近の勤務内容。学歴や資格ではない
- 最初の判断にかける時間は30秒から1分
- 年齢を理由に落とすことは法律で原則できない。例外は3つに限られる
- 落ちる理由のほとんどは、職務経歴が募集内容と合っていないこと
- 合っていても、具体的にできることと貢献の形が書かれていないと止まる
- 求人票には必要な経験を明示する義務がある。先に読み込むこと
- 職務経歴書はA4で3枚前後、直近から書く
- 退職理由は納得できればよい。資格より実務経験。希望年収は書く
50代の転職で効くのは、経歴を盛ることではありません。求人票に対する答えとして書くことです。読む側は30秒しか使えないので、そこに合わせて作るだけで通り方が変わります。
年齢のせいだと思ってたけど、書き方の話だったんだね。



そこは変えられます。求人票を読み直すところから始めてみてください。
働き方そのものを考え直したいときは、別の記事もあわせてご覧ください。






