やろうと決めてから実際に動くまで、何年もかかりました。
調べる時間が必要だったということですか?



それもありますが、正直に言うと怖かったんです。借入れをして物件を持つことが。
いま私は賃貸物件を持っています。ただ、スムーズに始めたわけではありません。きっかけから実際に動くまで、長いあいだ止まっていました。
この記事に書くのは、なぜ不動産に目を向けたのか、なぜすぐ動けなかったのか、何がきっかけで踏み切れたのかという話です。金額や物件の規模には触れません。判断の部分だけを残します。
- 株式投資だけでは不安になった理由
- 怖くて動けなかった期間に考えていたこと
- 始める前にやった4つの準備
- 物件を選ぶときに見たところ
- 一番怖かった空室が実際はどうだったか
- いま振り返って思うこと
この記事は私の経験をまとめたものです。特定の投資を勧めるものではなく、個別の投資判断についてのご相談には応じられません。
株だけでは不安になった理由


最初のきっかけは、相場の下落でした。
リーマン・ショックで見たもの
当時、資産運用といえば株式投資しか頭にありませんでした。そこへリーマン・ショックが来ます。
持っているものが一斉に下がる経験をして、同じ値動きをするものばかり持っていては分散にならないと考えるようになりました。
銘柄を分けていても、相場そのものが下がれば一緒に沈みます。分散したつもりになっていただけだと、そのとき気づきました。
金持ち父さん貧乏父さんを読んだ
その時期に読んだのが『金持ち父さん貧乏父さん』です。不動産という選択肢があることを、この本で知りました。
書かれていることをそのまま真に受けたわけではありません。本のとおりにうまくいく話ばかりではないでしょう。
ただ、給料と株以外にも道があると気づけたのは大きかったと思います。選択肢を知らないままでは、そもそも検討もできません。
給料以外の収入が欲しかった
会社の給料だけに頼る状態は、いつか行き詰まるのではないか。当時からその不安はありました。
収入の入口を増やすという考え方そのものは、別の記事にも書いています。


動けなかった数年間


ただ、知ったからといってすぐ動けるわけではありません。実際に物件を持ったのは40代前半になってからです。
借入れが怖かった
一番の理由は、怖かったからです。借入れをして物件を持つという形が、どうしても飲み込めませんでした。
住宅ローンとは別に、返済が増える。空室が続けば、給料から埋めることになる。そう考えると手が止まります。
株なら下がっても持ち続ければよく、最悪でも買った分で済みます。借入れを伴うと、損の形が変わってくるように見えました。
調べるだけで満足していた
その間、本を読んだり物件情報を眺めたりはしていました。動いている気分にはなります。
しかし実際には何も進んでいません。調べるだけでは、判断に必要な感覚は身につかないものです。
調べるのは無駄だったということですか



無駄ではありません。ただ、そこで止まっていた期間が長すぎたと思っています。
何が変わったか
転機は2つありました。
- 株だけでは分散にならないと、はっきり判断できたこと
- 自分が納得できる条件の物件が出てきたこと
この2つがそろったときに、ようやく動けました。逆に言えば、片方だけでは踏み切れなかったのでしょう。
考え方が固まっていても、条件の合う物件が出てこなければ動けません。逆に良さそうな物件があっても、自分の中で理由が整理できていなければ見送っていたはずです。
始める前にやった準備


止まっていた期間にやっていたことを、4つに整理します。
本を読む
まず本です。仕組みや用語が分からないままでは、物件情報を見ても意味が取れません。
ただし本だけでは足りませんでした。書いてある成功例と、自分が買える物件は別物だからです。
著者が買った時期と、いまの相場も違います。本は考え方を知るところまでと割り切ったほうがよいでしょう。
物件情報を見続ける
楽待などのサイトで、物件を眺め続けました。買う気がなくても、毎日のように見ます。
これを続けると、相場の感覚が自然に身につきます。あとから振り返ると、この期間が一番効いていました。
最初は、高いのか安いのかも分かりません。それが半年、1年と見ているうちに、条件に対して妥当かどうかが見えてきます。この感覚がないまま物件を勧められると、断る理由を持てないでしょう。
セミナーと現地
セミナーや説明会にも足を運びました。話を聞くというより、どういう人たちがやっているのかを見に行った面があります。
そのうえで現地です。写真と図面だけでは分からないことが、行けば分かります。周りに何があるか、どういう人が歩いているか。
駅からの道を実際に歩くと、図面上の距離とは印象が違いました。坂があるか、夜は暗くないか。借りる人の立場で見ると、見えるものが変わります。
| やったこと | 得られたもの |
|---|---|
| 本を読む | 仕組みと用語 |
| 物件情報を見続ける | 相場の感覚 |
| セミナー・説明会 | 全体像と雰囲気 |
| 現地を見る | 図面に出ない情報 |
物件を選ぶときに見たもの


最終的に判断したのは2つです。立地と、築年数や構造を見ました。
立地を最優先にした
空室が怖かったので、埋まりやすさを最優先にしました。需要がある場所なら、多少の条件は後から変えられます。
逆に立地は変えられません。設備は入れ替えられますし、家賃も動かせます。ところが場所だけは、買ったあとにどうにもならないものです。
だからここは妥協しないと決めていました。怖かったのが空室である以上、そこを外すわけにはいきません。
築年数と構造を見た
次に見たのが築年数と構造です。ここは修繕や維持にそのまま効いてきます。
古ければ安く買えますが、そのぶん手がかかります。どこまで引き受けられるかを考えて決めました。
利回りの数字では決めなかった
数字だけで判断しなかったのは、空室が出れば前提が崩れるからです。表に出ている数字は、満室のときの話にすぎません。
数字の良さに引かれて場所を落とすと、空室が出たときに立て直せません。順番としては、立地を先に見るほうが安全でしょう。
いま振り返っても、この決め方でよかったと思っています。
一番怖かった空室の実際


結論から書きます。思っていたほど怖くありませんでした。
立地で選んだのが効いた
埋まりやすい場所を選んだことが、そのまま結果に出ました。空室がまったく出ないわけではありませんが、長く続く状態にはなっていません。
始める前に心配していたのは、空室が続いて返済ができなくなる形でした。そこまでの事態は起きていません。
もちろん、これから先も同じとは限らないでしょう。ただ、場所を優先して選んだことが効いている実感はあります。
管理会社で差が出る
もう1つ分かったのが、管理会社によって埋まるまでの速さが変わることです。同じ物件でも、動き方が違いました。
ここは別の記事に詳しく書いています。


怖さの中身を分けておく
いま思うのは、怖さの中身を分けておけばよかったということです。漠然と怖いままだと、いつまでも動けません。
- 空室が出ること自体は、ある程度起きる
- 問題は、それが長く続いて返済に響く状態
- 立地と管理会社で、後者の確率は下げられる
こう並べてみると、手を打てる部分と、受け入れる部分が分かれます。全部を怖がる必要はありませんでした。
いま振り返って思うこと


始めてから、生活がどう変わったかを書いておきます。
思ったより手がかからない
現地に行くのは年に数回です。管理会社とのやりとりはメールが中心で、急ぎのときだけ電話が入ります。
始める前は、休日がつぶれるものだと思っていました。実際にはそうなっていません。
毎日何かをしているわけではありません。会社員を続けながらでも回っているのは、ここに理由があるのでしょう。
時間を取られるのは2つ
まとまった時間が要るのは、確定申告の時期と、修繕の見積もりを判断するときです。
| 場面 | 頻度 | 中身 |
|---|---|---|
| 確定申告 | 年に1回 | まとめて作業が発生する |
| 修繕の見積もり | 不定期 | 金額と必要性を比べて決める |
| 日常の連絡 | 随時 | メールで足りることが多い |
確定申告でつまずいた点は、別の記事にまとめました。


もっと早く動けばよかった
一番の反省はここです。怖いまま止まっていた期間が長すぎました。
ただし、焦って条件の悪いものを買っていたら別の後悔をしていたでしょう。止まっていた期間に相場の感覚が育ったのも事実です。
早く動くことと、急いで決めることは違います。怖さの中身を分けて、消せる不安から順に消していけば、もっと早く動けたはずです。
会社員の不動産投資のよくある質問


始める前に私が気になっていた点をまとめます。
会社の規定に引っかかりませんか
就業規則の確認が先になります。人事として届出を受ける側にいた経験から、確認すべき点を別の記事にまとめました。


知識がなくても始められますか
最低限は要ります。仕組みが分からないまま、人に勧められるまま買うのは危ないでしょう。本を読むところから始めれば十分です。
セミナーには行くべきですか
私は行きました。ただし、その場で何かを決めないことが前提です。情報を取りに行く場所だと考えておいてください。
何から手をつければいいですか
物件情報を見続けることを勧めます。買わなくて構いません。相場の感覚がないうちは、良し悪しの判断ができないからです。
お金もかからず、いつでもやめられます。最初の一歩としては、これが一番負担が軽いでしょう。
現地には行ったほうがいいですか
行ったほうがよいと考えています。図面や写真では分からない情報があります。周辺を歩くだけでも印象は変わるはずです。
40代から始めても遅くありませんか
私自身が40代前半でした。ただし借入れの期間は年齢に左右されるため、条件は人によって変わります。金融機関に確認してください。
家族には相談しましたか
しました。借入れを伴う以上、黙って進める話ではないでしょう。反対されたまま進めていたら、続かなかったと思います。
株式投資はやめたのですか
やめていません。置き場所を分けたかったというのが始めた理由なので、両方続けています。どちらかに寄せるつもりもありません。
まとめ


会社員が不動産に手を出すまでの話を書きました。止まっていた期間が長かったことが、一番の反省です。
- きっかけはリーマン・ショックと『金持ち父さん貧乏父さん』
- 株だけでは分散にならないと考えた
- 借入れが怖くて、実際に動いたのは40代前半
- 止まっていた期間にやったのは、本・物件情報・セミナー・現地
- 選ぶときに見たのは立地と、築年数や構造
- 一番怖かった空室は、思ったほど怖くなかった
- 手がかかるのは確定申告の時期と修繕の判断
同じように迷っている人がいれば、怖さを分けて書き出すところから始めてみてください。漠然としたままだと、何年でも止まっていられます。
会社に残っても辞めてもいい状態をつくるという考え方は、別の記事に書いています。


